①Layang Pungkasan / Wiwik Sumbogo
今年の収穫は何と言ってもインドネシアで一番好きな歌手、ウィウィ・スンボゴのカセットを何本か入手できたことだ。そういえば、彼女はその昔、P.ヴァインから発売さてたダンドゥットのコンピレに収録されていたんだよなぁ。またその昔、彼女がスマラン出身だというのでスマランまで会いに行ったこともあったなぁ、会えなかったけど。
しかしこのカセ、オリジナルかなぁ、怪しい。ジャケデザイン的には90年代初頭ぽいのに、内容は80年代だろう。盤権移譲して再発なんでは...まぁ、いずれにしても素晴らしいアルバムだ。ウィウィの頬杖ジャケもいい。
「Tembang Jawa Cantik」(かわいいジャワの歌)と言うことだが、本当にウィウィの声が可愛い。優美なクロンチョン ・アレンジ(時折、チープなキーボードも入るがこれがまたいい)が大半を占めるナイスなバック陣、オイラが今まで聴いて来た彼女のアルバムでは最高峰だろう。演奏者のクレジットがないのが残念だ。もう一本、P2SC時代のカセも入手したが(どこにあるか探せない)あのカセも素晴らしかった。
② Mesam-Mesem / Sumiyati
③ Luntang Lantung / Gambang Kromong Kumala Sakit
四半世紀以上に及ぶインドネシア音楽人生に老いて、今年ほどガンバン・クロモンのカセを聴いた年はなかった。ピンキリ、いや、だから楽しいのだ。ベニャミンとも交流があり、数々の名曲を世に送り出してきた、JOKO S.率いるこのカセ。いや~笑わせてもらった。2曲目の「Jali Jali 135juta」は最高!ロマ・イラマの「 135juta」のカバーだ。あのメッセージ色の強い曲を、こなんにだるいアレンジで、しかも、どこかザンジバルのターラブ風に。インドネシア人にはたわいないカバーだろうけど、特にロマ信者とかね。このセンスは大好き。JOKO Sの足跡を知る上でも貴重なカセだ。
④ Makan Hati / Rita Sugiarto & Jacky Zymah
今年5月、オイラが最も敬愛するダンドゥット・アーティスト、マラ・カルマが逝ってしまった。ダンドゥット界の筒美京平、いやオイラにはそれ以上の存在だった。彼は、ソロと平行してこの二人のオルケス、O.M.Jacta Groupにも参加していた。本カセットではアレンジャーだ。切れ味のあるギター、幅のあるアレンジ、本作を聴くとその後、確固たる地位を築いて行くスタートと言える音源が詰まっている。20年以上前、エルフィ来日公演で彼の姿を見た切り、というのが何とも情けない。きちんと話をしておくんだったと、このカセを聴き後悔する2015年だった。
⑤ Mpok Lilis Jaipongan / lilis Suryani & Iyong
70年代末と思われるカセ。さすがにリリスもおばさん風のジャケだ。ポップスンダとジャイポンの融合作としては名作だろう。時代的にまだチープなシンセに頼らないポップ・スンダ風演奏とコロコロと転がるようなグンダンのジャイポン臭。二人のDuetは時折、ベニャミン&イダ・ロヤニを彷彿させる。クリーム「Sunshine Of Your Love」風なギターリフB5 Pesta Jaipong / Iyong が秀逸!
⑥ Orkes Melayu Delima
初めて知るオルケスのカセ。A-1「Batik Pekalongan」はエルフィ&マンシュールもカバーした名曲。
ジャワ島北岸の町のバティックを歌った曲だ。果たしてこれがオリジナルなのか....IdrusHasniとDuetするIda Sanjyayaは後にダンドゥット歌手として少し成功した彼女だろう。OM時代の良質な部分を残した演奏で、もしかしたらレコードがあるかもしれない。複数の歌手の音源を収録。ナイスなオルケスだ。ちなみにリーダーのMONO SANJAYAはIDAの旦那かしら....
⑧ Jamu Gendong / Dariah
タルリン界の女王DariahがHajahを名乗っていないカセは初めて見た。つまりこの時点ではメッカ巡礼に行っていないということか....さすがにジャケが若い。細身で初々しさも残る。あのふてぶてしさがないのは少しさびしいが。バックがOMを務めている通り、ほとんどタルリン・ダンドゥトの世界だ。まだこの時期(70年代後半?)はタルリン・ダンドゥットが試行錯誤していたかのような音が聞こえてくる。
⑨ Jauh Sudah / O.K.Swadesi
まず、ジャケのイラストが素晴らしい。オーソドックスなクロンチョンながらもスタンダードなナンバーは一切やっていない。フルートではなくスリンを使用しているのもオイラ好みだ。ヴィブラートを効かせたSudarmoのヴォーカルもナイス。珍しく、ミュージシャンのクレジットもあり、カセット時代のナイスなクロンチョン ・アルバムをさがすのにも役に立つ。
➉ Pop Sunda Vol.2 Bersama Band De Sonic & Band Estika
これは長年探していたカセ。ヘティ・クス・エンダンがまだHetty Kusmadewiを名乗っていた時代のポップ・スンダ。当時(70年代後半?)人気のあったMus D.S.とコラボした作品。バンド演奏もナイスだが、ヘティも若い。ジャイポンの名手タティ・サレ(ジャケ写上)の快演もうれしい。
今年も約60本以上の中古インドネシア・カセットを聴いてきたが、抜け、劣化に耐えながらも何とか凌いだ。 カセット時代にしかありえない音作り、時代の臭いを大いに感じさせてもらった。数々の名盤、迷盤を提供してくださったプランテーション・レコードには本当に感謝は尽きない。また、来年もお願いしたい。
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